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その179(りらく2026年2月号)

 昨年の11月の中旬、立山黒部アルペンルートで有名な室堂に行ってまいりました。立山黒部アルペンルートは、長野県側の登山口である扇沢から富山県側の富山地方鉄道立山駅間を、ロープウェイ、バス、ケーブルカー等の交通機関で結ぶ山岳観光ルートです。標高3000m級の山々が連なる北アルプスを間近に見ることができ、登山者だけでなく一般の観光客にも人気があります。今回は、その中間地点にあたる室堂(標高2450m)まで富山県側から電車やシャトルバスを乗り継いで行ってみました。室堂には、標高3003mの雄山を主峰とする立山連峰を間近に見ることができるバスターミナルがあり、このルートの人気スポットです。
 当日はお天気に恵まれ、北アルプスの雄大な景色を楽しんだだけではなく、すでに雪がたっぷりと積もっていて、立山連峰に連なる浄土山の斜面を持参したスキーで滑ることができ、大満足の山旅となりました。

室堂ターミナル 室堂ターミナルから見る立山連峰 浄土山からの滑降


 話は変わって、高齢者の財産管理のお話です。前回まで成年後見制度の一つである「法定後見制度」をご紹介しました。今回からは、もう一つの成年後見制度である「任意後見制度」をご紹介したいと思います。
 任意後見制度は、ご本人の判断能力に問題はなく、「今は何でも自分で決められるけれども、将来が不安だ」という方が利用できる制度で、法定後見制度と異なり、ご自身で家族や親族、第三者等どなたでも任意後見受任者として指名し依頼することが可能です。任意後見受任者は、任意後見がスタートしますと任意後見人として、法定後見人と同じくご本人(被後見人)に代わり、主に「財産管理」と「身上監護」を行うことができます。
 任意後見人による「財産管理」でできるのは、預金口座の管理・金融機関窓口での手続き、定期的な費用・納税・保険料・ローンの支払い、生活に必要な物品の購入・支払い等です。また、賃貸不動産の管理・賃貸借契約手続き(締結・変更・解除)や売却なども本人に代わって行うことができます。次に「身上監護」ですが、介護や福祉サービスの契約・支払い、医療関連契約・医療費の支払い等を本人に代わって行います。
 これらの行為は、任意後見人でなくとも家族や親族が行うことができますが、そういう方がご本人の周りにいない場合、民間の介護支援団体や信頼できる友人や知人に任意後見人となってもらい「財産管理」や「身上監護」をお願いすることができます。ただし、費用負担が発生することになります。また、任意後見契約は公正証書で作成する必要があり、そのための費用も別途必要となります。
 任意後見は、精神上の障害(認知症、精神障害など)によって、本人が銀行等の本人確認の手続きに対応できなくなったり、財産の管理・処分を自分で行うことができなくなったりしたときに、任意後見受任者が家庭裁判所へ申請して任意後見監督人(主に弁護士や司法書士等の専門家)を選任することで、開始されます。任意後見監督人の選任により、任意後見契約の効力が生じ、契約で定められた任意後見受任者が任意後見人となり、任意後見監督人の監督の下に、契約で定められた特定の法律行為をご本人に代わって行うことになります。
 なお、任意後見制度は「本人を守り、支援するための制度」であり、任意後見人に認められるのは、あくまでも被後見人であるご本人のためになる行為のみです。子や孫への生前贈や孫の入学祝いとして預金を引き出すといった行為等はできません。このような行為を行った場合は任意後見監督人から是正するよう求められることになりますので注意が必要です。

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