その178(りらく2026年1月号)
雪の便りがあり、11月の終わりに鳥海山へ参りました。麓はいまだ紅葉が残っていて晩秋の風景ですが、鳥海山の頂に目を向ければ、その中腹まで雪で真っ白になっていました。登山道へ続く道を車で上がっていきますと、途中から道路にも雪が積もっていて、標高1000m手前からはかなり深くなってきたので、車を道路脇に停め、そこからスキーの板にシールを取り付け、車道を登っていきます。車道から登山道に入ると本格的な登りとなり、外気温は氷点下にもかかわらず体中から汗が吹き出ます。なんとか標高1600mまで上がって手許の時計を見ると午後1時近い時刻になっていました。予定していた下山の時刻です。この季節は日が短く、早めの下山が肝心。すでに辺りは一面の銀世界で天然のゲレンデ状態です。一休みして、シールをはずし、まっさらな斜面を一気に滑り降り、初滑りを楽しんだのでした。

前回に引き続き高齢者の財産管理についてのお話です。前回は、5年ほど前に亡くなった私の母の成年後見について、法定成年後見の開始から父の遺産分割協議までをご紹介致しました。今回は、その後母が老衰で亡くなるまでの5年間の成年後見についてご紹介したいと思います。
前回もご紹介しましたが、一旦成年後見が開始されると、被後見人である母の判断能力が回復するか、または亡くなるまで成年後見が続くことになります。家族等の都合で成年後見を取りやめることはできないのです。
成年後見が開始されると母のすべての財産は家庭裁判所の監督下にある法定後見人に管理されることになりました。以後、母の通帳や権利証などは後見人が預かり、納税通知書などさまざまな通知は家族ではなく後見人にいくようになり、それらの支払いも後見人が行うようになりました。そして、母の成年後見は5年後に母が亡くなるまで続きました。
このように被後見人が生活をしていく上では法定後見人が「しっかりと」その財産管理を行うので心配はなくなりますが、一方で、被後見人の家族や親族にとりましては、何かと不都合なことも出てくることが予想されます。例えば、被後見人が家族と同居している場合、被後見人の生活費や医療費等は、一旦家族が立て替えた上でこれを後見人が後から清算することになります。
それまで被後見人の年金や不動産収入等で生計を立てていた家族や親族にとりましては、これまで通り本人のお金を自由に使うことはできなくなります。成年後見が開始されますと、被後見人の収入から家族の生活費に充てることができるのは、その配偶者と未成年などの扶養者に限られます。そして、被後見人の財産状況、収支、成年後見が開始される以前の家族の事情などを後見人が検討して「常識の範囲内」で家族の生活費の額を決定することになります。
また、被後見人が所有する自宅の大規模なリフォーム、資産運用、生前贈与などは制限されるか、原則としてできなくなります。これは、成年後見制度が本人の財産保護を目的としているので、周りの家族の事情は優先されないためです。また、後見人に対する報酬(被後見人の預金等で支弁されます)も発生しますので、後見の期間が長くなればその費用負担も馬鹿になりません。
成年後見制度の利用にあたっては、以上のような点を踏まえた上で判断することになります。次回は、もう一つの成年後見制度である、「任意後見制度」についてご紹介したいと思います。