その174(りらく2025年9月号)
7月の中旬、月山へ夏スキーに行ってまいりました。当日は、風もほとんどなく、空は真っ青、雲は真っ白の夏空が広がっていました。この時期になりますと、さすがに月山スキー場付近の雪はなくなっていて、スキー場のリフトより上部、姥ヶ岳の頂上直下にある雪渓まで行かなくてはなりません。
月山スキー場のリフトに乗り、リフトの終点からスキーを担いで雪渓のある斜面まで登っていくと、谷を挟んで向こう側に、雪がすっかり解けて青々とした月山の頂上が見えてきました。頂上の下の沢筋には未だ雪が残っていています。真っ青な空の下、山並の濃い緑と雪渓の白のコントラストが目に眩しいほどです。この時期でしか目にすることのない景色に満足です。
姥ヶ岳の雪渓に着くと既に何人かのスキーヤーが滑っていました。雪渓は上から下まで数百メートルはあるでしょうか。滑るには十分な距離ですが、斜面はかなりボコボコで、スキー場のようにコース整備はされていませんのでそれなりの技術と経験が必要です。早速、登山靴からスキーブーツに履き替え、スキーをセットして斜面の状況を確かめながら慎重に滑り出します。次第に斜面の感触が掴めてきたので少しずつスピードを上げ、ターンも小回りに切り替えます。スピードを上げるにつれ、スキーの板がボコボコの斜面で暴れだします。それを板の中心に乗って抑えこみ、転びそうになりながらもなんとか1本目を無事滑り降りることができました。滑ってきた斜面を振り返って見上げれば、斜面の上には青い空と白い雲が広がっています。お天気に恵まれたことに感謝しながら、この後何本か滑って月山の夏スキーを十分に堪能することができました。
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前回より、高齢者の認知症対策としての財産管理についてご紹介しています。日本は今や超高齢社会をむかえ、65歳以上の高齢者の約20%が認知症を患っているとされています。認知症になりますと、記憶力の低下や今までできていたことができなくなるといった認知機能の低下をはじめ、生活をする上でさまざまな障害が生じ、ご自分が所有している預貯金や不動産、あるいはご自分が経営する中小企業の自社株式等、財産の管理や運用にも問題が出てくるようになります。
特に、症状が進んでご自身の名前や生年月日すらも分からなくなってしまった場合は、「本人確認」ができない状態となり、この場合、具体的には、次のような問題が生じることになります。
①預貯金…金融機関側ではご本人の預貯金の口座を凍結することになり、お金の出し入れや送金が一切できなくなります。
②不動産…売却や建て替え、大規模な修繕ができなくなります。また、所有する貸家や貸地に関して賃貸借契約の更新ができなくなります。
③上場株式や公社債等の有価証券…売買や解約ができなくなり、証券会社にあるご本人の口座が凍結されます。
④ご自分が経営する会社の株式…「本人確認」ができない状態での株式の売買や株主総会での議決権の行使は無効となります。
これらは、2008(平成20)年に施行された「犯罪収益移転防止法」という法律の規定により、金融機関や証券会社、税理士や司法書士等の資格者が、顧客や依頼者等に対して厳格な「本人確認」を行うことと義務付けられているためです。この法律に従わなかった場合、厳しい処罰の対象となります。もともとはオレオレ詐欺や特殊詐欺、あるいはテロ組織による不法な資金洗浄(マネーロンダリング)等の犯罪を防止する目的で施行された法律なのですが、①から④のような行為を行う場合は、例外なく「本人確認」が求められることになっているのです。
次回は、このような高齢者の財産管理をどのように行っていけばよいのかご紹介してまいりたいと思います。