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その146(りらく2023年5月号)

 3月の下旬、自宅近くの小渓流にイワナ釣りに出かけました。冬の間、時間を見つけてはフライ(毛バリ)を作り、この日のために何種類かをストックしていました。いよいよそれを試すときです。
 めざす渓流に着いて辺りを見回すと、すでに雪は消えて、すっかり春の様相です。葉が落ちた林の中ではカタクリが咲き、春の日差しが入り込んで眩しいくらいです。さっそく身支度をして、渓に降り立ち、イワナがいそうなポイントにフライを飛ばします。竿を振るのは昨年の秋以来ですので、最初はフライが思うようにポイントに届きません。おまけに、うまく届いても、なかなか反応がありません。フライを別のものに交換して反応を見てみます。
 ポイントを探しながら、上流の方へ釣り上がっていくと、プールのように少し広くなったポイントに着きました。水面を観察すると、奥の方にイワナが定位してエサが流れてくるのを待ち構えているのが見えました。姿勢を低くし慎重に竿を振って、さらに少し上流の方にフライを飛ばすと、ひらひらと舞いながら水面に落ち、イイ感じでイワナが待ち構えている方に流れていきます。そのイワナがスーッと泳ぎ寄ってフライを咥えるのが見えました。一呼吸おいて竿を立てると狙い通りイワナがヒット。竿がしなり、手にはたしかな手ごたえが伝わってきます。何とか手繰り寄せてみると、メスのきれいなイワナでした。丁寧に針を外し流れに戻すと勢いよく岩陰に逃げていきました。

 


 変わって、生前贈与のお話です。相続税対策として、家族の方等に生前にご自分の財産を贈与しておけば、相続税の課税対象となる財産を減らすことができるわけですが、相続税法という法律で、亡くなる直前に贈与した財産は、相続財産に加算して相続税を課税することになっています。これを相続税の「生前贈与加算」と言っていますが、亡くなる直前とは、これまで3年以内だったのですが、7年以内に来年から順次延長されることになってしまいました。
 一方、生前贈与に対する贈与税の課税方式として、「相続時精算課税」による贈与制度があります。この制度は、祖父母や親から子や孫に対して行う贈与に限り、総額2500万円までは、一切贈与税を課税しないというものです。ただし、この制度を選択して贈与した財産に関しては全て、将来その贈与者が死亡した場合、その贈与者の相続財産に加算して相続税を課税するというものです。
 生前贈与した財産のうち、2500万円までは贈与税を課税しない代わりに相続税の課税対象とするというものですので、将来の相続税を減らすという効果はあまり期待できませんでした。
 ところが、今回の税制改正により、この制度を活用した生前贈与でも、年間110万円の控除ができるようになりました。しかも、この控除された分は、相続財産への加算もないことになりました。例えば、この制度を使って年間110万円の現金を10年間にわたり贈与した場合、総額1100万円が贈与税も相続税も課税されないことになります。今回の税制改正の結果、相続税対策としての生前贈与は、今後は、前月号でご紹介した改正後の暦年課税による贈与よりも、今回ご紹介した改正後の「相続時精算課税」による贈与の方がより確実な対策となると思います。

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