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その138(りらく2022年9月号)

 スキーやスノーボードは、一般的には冬のスポーツという位置づけですが、山形の月山や鳥海山では7月、8月でも滑りを楽しむことができます。しかも、高山の夏は花の季節でもあり、雪渓が解けた跡には次々とたくさんの植物が芽を吹き、やがて短い夏を惜しむかのように可憐な花々が咲き競う光景を見ることができます。夏スキーは、お天気にさえ恵まれれば、爽快な滑走と見事な高山植物の競演を一挙両得で楽しむことができるのです。
7月最終の土曜日早朝、鳥海山を目指して山形に向かいました。当日は朝から青空が広がって期待に胸が高鳴ります。登山口から2時間余り急坂を登ると、河原宿という平坦な場所に出ます。既に雪は大分解けてなくなり、鳥海山の山肌も雪渓が点在して見える程度になっているのですが、よく見るとそれが「心」の文字のように見えます。「心字雪渓」と呼ばれる所以です。
河原宿からさらにその心字雪渓を登って行くと、やがてニッコウキスゲの群落が見えてきました。群落は雪渓沿いに帯状となってずっと上の方まで続いています。ニッコウキスゲに癒されながら雪渓の上端まで上がれば、風も爽やかです。振り返って登って来た斜面を見下ろすと、雲海の遥か彼方に月山、その右手には日本海が広がっていました。
天空の景色を堪能した後、心字雪渓での夏スキーを満喫しました。

ニッコウキスゲの群落心字雪渓
雲沸く天空のゲレンデ


 さて、前回に引き続き生前贈与のお話です。これまで、配偶者の方への居住用財産の贈与と子や孫への住宅取得資金の贈与の特例についてお話ししてまいりました。これらの贈与は、一定の贈与金額までは贈与税が課税されないだけでなく、その後に贈与者が亡くなり相続が発生しても相続税の課税対象となる生前贈与加算がないというメリットがあり、生前贈与による相続税の軽減対策として広く活用されています。
 その3つ目として今回ご紹介するのは、「教育資金の一括贈与の特例」です。子や孫の教育資金を一括して親や祖父母から贈与した場合、一定の条件のもとに1500万円までの金額について贈与税が非課税となる特例です。この特例を使って教育資金を子や孫に一括贈与した場合も、原則相続税の生前贈与加算の適用がありません。
 子や孫の扶養親族である親や祖父母がその教育資金を都度負担することについては、そもそも贈与税は課税されないのですが、将来かかるであろう教育資金も含めてまとめて贈与した場合でも贈与税が課税されないところが、この特例のメリットです。
 ただ、残念なことに昨年度の改正により、この一括贈与資金のうち、贈与者がお亡くなりになった時点で実際に教育費に充てられていない未使用の部分に関しては、原則生前贈与加算の適用対象となりましたので注意が必要です。このため、教育資金の一括贈与を行う場合は、贈与者のご存命中に贈与を受けた金額を全額教育費(入学金、授業料等)として使いきってしまう必要があります。

 なお、この教育資金の一括贈与の特例を適用する場合、金融機関で「教育資金口座」の開設等所定の手続きが必要です。単に子や孫名義の預金口座に教育資金を預け入れるだけでは適用となりませんので、詳細は予め金融機関にお尋ねください。
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