sp
その129(りらく2021年12月号)

 10月の末、鳥海山へスキー登山に行ってまいりました。東北の山々は、標高2000メートル前後ですと10月の初めには降雪があり、その年にもよりますが、10月の後半からは頂上付近でスキーを楽しむことができます。もちろん冬山ですので、厳冬期同様の装備やそれなりの知識経験が要求されるステージとなります。

 今回は、鳥海山の北東側の矢島口という登山口から頂上を目指しました。鳥海山は別名「出羽富士」とも呼ばれ、とくにこの時期の矢島口側から見える山容は、「富士」の名にふさわしい姿です。

  標高1100メートルの登山口周辺にまだ積雪は無く、スキーブーツをザックに収納し、板を括り付け、背負って登ります。登山道をしばらく登って行くと日陰に雪が見え始め、さらに登って行くと登山道も完全に雪で覆われてしまいました。しかし、積雪は膝下くらいで斜面はまだところどころ岩が出ており、スキーができる状態ではありません。

  標高2000メートル手前まで上がったところで、前方の進路がテカテカのアイスバーンとなっていました。板にシールを貼って登り始めましたが、あまりグリップが効かず、アイゼンがなくては登れないほどの斜面となってしまいました。鳥海山の外輪山直下でしたが、転倒すると滑落の危険がある状態でしたので、この時点で撤退を決断しました。それでも、その手前の沢筋の斜面がほぼ雪で埋まっていましたので、ザックを下ろし空身で数本ほど初滑りを楽しむことができました。

 雪がたっぷり残っている春であれば、登山口までスキーで一気に滑り降りることができるのですが、今回は、再び登山靴に履き替えての下山となりました。スキーで滑ることができた距離は短かったですが、いましがた味わった久しぶりの新雪の感触をかみしめながらの、心満たされた帰途となったのでした。

新雪に覆われた鳥海山残っていた先シーズンの雪渓

Myシュプール滑走を終えて


 前回、来年度の税制改正で贈与税の改正が行われる見込みであることをお伝えいたしました。具体的にどのような改正が行われるのか、現時点ではわかっていないのですが、高齢化社会の到来により世代間の財産移転がこれまでより遅くなっていることが国内消費を含めた経済の活性化の阻害要因となっている点と、さらには生前贈与を行った場合とそうでない場合とでその後の相続税の負担額に不公平が生じる点を是正するのが今回の改正の狙いとなっています。この2点を勘案すると、生前贈与に関しては贈与税を課税しないようにして世代間の財産移転を促進し、生前贈与を行った場合と行わなかった場合との相続税負担の是正に関しては、贈与税を課税しないかわりに生前贈与による世代間の財産移転に対して相続税を課税するという枠組みが想定されるところです。

 また、贈与税だけでなく相続税についても関連する改正が想定されます。贈与を受けた財産に対する贈与税の年間110万円の基礎控除額が仮に廃止され、相続税の課税対象とされた場合、結果として増税となってしまい、納税者の税負担が増加することになります。私見ですが、これを緩和する対策として贈与税の基礎控除がなくなった分、相続税の基礎控除額を引き上げ、結果として贈与税・相続税を合わせた税負担額は変わらないようにするということも必要ではないかと、一税理士としては期待しているところです。

sp