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その102(りらく2019年9月号)
初夏の渓流

 お盆休みを利用して鳥海山へ行って参りました。毎年恒例となっているのですが、鳥海山の南斜面にある「心字雪渓」でスキーをするのが目的です。「この時期にスキーができるなんて本当?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、鳥海山の上部には冬に降った雪が秋口まで雪渓となって残っており、そこでスキーができるのです。もっとも、雪渓ですので、スプーンカットという波打った硬い斜面となっており、スキーで滑るにはそれなりの技術が必要です。

自製のフライ 「心字雪渓」の由来は、この時期に中腹にある河原宿と呼ばれる山小屋から鳥海山を眺めると、外輪山の直下に点在する雪渓群が、ちょうど漢字の「心」の文字のように見えることからそう呼ばれるようになったものです。ここでスキーをするためには、登山口から雪渓までスキーブーツを入れたザックの両脇にスキーの板を括りつけて登山道を登らなければなりません。当日は朝から晴天に恵まれ、登りはじめから体中に汗が吹き出します。八丁坂と呼ばれる急な登山道を何とか登りきると、河原宿の山小屋跡に辿り着きます。ここで頂上付近の方角に目を向けると、今年も「心字雪渓」が見えました。青空の下、緑色の山の斜面にくっきりと「心」の文字が展開していました。

毛バリを飲み込んだ大岩魚

 河原宿で一休みして、さらに上を目指します。最初の雪渓に足を踏み入れると、斜面を渡るひんやりとした風が汗ばんだ体を心地よく通り過ぎていきます。雪渓沿いにはニッコウキスゲの群落も丁度見頃を迎えていました。雪渓の最上部に到達して振り返れば、遥か雲海の彼方に月山も見えます。一息入れてスキーブーツに履き替え、雲上の夏スキーを堪能したのでした。


 前回より、相続に関する民法改正で新たに創設された特別寄与料についてご紹介しています。この特別寄与料ですが、具体的には、無償で療養看護その他の労務の提供をした親族(「特別寄与者」といいます)が相続人に対して請求するという建付けになっています。この為、相続人間で遺産分割協議がまとまっていない場合でも、それには関係なく各相続人に対して特別寄与料の請求を行うことが可能となっています。
具体的な特別寄与料の額は、まず相続人と特別寄与者との間で協議してその金額を決めることになりますが、当事者間で協議が整わない時は家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することとなります。
このような手続きとなっているのは、相続人間で遺産の分割等に関する争いがある場合、特別寄与料に関する協議も整わないことが想定されますので、遺産分割の調整ではなく、寄与に応じた額を相続人が各人の法定相続分に応じて支払うことで解決するように配慮したものです。
なお、この特別寄与料の請求権は、原則として特別寄与者が相続の開始及びその法定相続人が誰であるかを知った時から6ヵ月以内、又は相続開始から1年以内にその権利を行使しなければなりません。これらの期間を経過するとその権利は消滅することになりますので注意が必要です。
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