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その101(りらく2019年8月号)
初夏の渓流

 梅雨の晴れ間を狙って、釣りに行って参りました。当日の予報は曇り時々雨でしたが、こんなお天気の方が、実は渓魚の活性も高くフライ(毛バリ)フィッシングには好条件なのです。
 当日は、早朝自宅を出て山形へ向かいました。国道からはずれ、曲がりくねった林道をしばらく行くと、目指す渓流があります。早速身づくろいして入渓します。先ほどまで小雨が降っていたようですが、丁度上がって川面も滑らかです。フライをうまく飛ばして、ふわっと水面に落とすことができれば、水中にいる渓魚からはよく見えるはず。水量も多過ぎず少なすぎずで、好条件が揃い身震いする思いです。

自製のフライ ところが、一点問題がありました。蜘蛛の糸が何本も渓流を横切っていて、フライを投入しようとすると蜘蛛の巣に引っかかってなかなか目指すポイントに飛ばすことができません。この時期は渓流でよく見られる現象なのですが、なかなかこちらの思うようにはいかないものです。

毛バリを飲み込んだ大岩魚

 しばらく悪戦苦闘して渓流を遡上していくと、少し開けたプールのように広いポイントに着きました。以前もまずまずのサイズのイワナを釣り上げた記憶がある場所です。イワナが付いていそうな岩陰の近くへ慎重にフライを投入します。一投目は何の反応も無くフライが流れていきます。二投目は更にもう少し上流の方に投入したところ、突然「バシャ」っと水面からイワナが飛び出してフライが水面から消えました。これに呼応するように反射的に竿を立て、合わせます。竿が大きく弓なりに曲がってそのまま持っていかれそうになります。どうやら大物がヒットしたようです。慎重に釣り糸を手繰り寄せ、ランディングネットに取り込んだところ、尺(30センチ)をゆうに超える大イワナでした。見ると大きくあいた口の奥にフライが飲み込まれていました。写真を撮り、フライを慎重に外して渓にそっと戻すと、悠然と流れに戻って行きました。久しぶりの大物に自然の恵みを感じながら、充実した釣行となりました。


 さて、変わって民法改正のお話です。前回まで、新設された配偶者居住権についてご紹介して参りました。今回は、亡くなった方(被相続人)の療養看護や、被相続人が生前に営んでいたお店その他の事業や財産運用について労務の提供等を行っていた場合に、その貢献度合いに応じて遺産からの分配を認めるという新たな取扱いについてです。しかも、その対象を法定相続人以外の相続権のない他の親族に対しても認めるという、画期的な取り扱いです。
これまで、法定相続人である子ども夫婦が、亡くなった親の生前に療養看護や労務提供を行っていた場合、法定相続人である子どもに対しては、法定相続分以外に寄与分という権利が別途認められていました。しかし、この場合、法定相続人の配偶者に対しては直接この寄与分は認められていませんでした。例えば、被相続人の身の回りの世話や療養看護等を実際には法定相続人である長男の妻が行っていた場合は、その妻に対しては、寄与分が認められていませんでした。また、法定相続人が子で、被相続人の療養看護等は被相続人の妹が行っていた場合でも、妹は法定相続人ではない為、寄与分が認められていませんでした。  この為、これら被相続人の法定相続人以外の親族(6親等以内の血族、及び3親等以内の姻族に限ります。)についても、今回の改正により「特別寄与料」として新たに相続財産からの支払いが認められるようになったものです。
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