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その92(りらく2018年12月号)
尾根沿いのルート

 今年もスキーから始まって、海、山、川とアウトドアでの遊びを堪能しましたが、締めくくりは、やはり紅葉した山や森を楽しむのが一番です。今回は10月の中旬、ブナの紅葉が見たくて船形山に行ってみました。宮城県側の升沢の先の、登山口のある旗坂キャンプ場から、家内と二人での山行です。船形山の頂上ではなく、登山道の途中にある三光の宮という、お宮までとしました。このルートは、登り始めからブナの林となっていて、しかも太くて立派なブナの紅葉を見ることができます。

ブナの森 先ずは登山口で登山届を出して、いざ出発です。山頂を目指すわけではないので、周りの景色を楽しみながら、ゆっくりと登って行きます。登山口は標高600メートル程ですが、この辺りのブナの葉っぱは黄緑色で、紅葉が始まったばかりのようです。陽が差すと森の中はライトグリーンの明るい色彩に溢れます。

七ツ森 写真を撮ったりしながら、落ち葉が降り積もってクッションのようになった道をしばらく登って行くと、ブナの葉も黄緑色から黄色に変わってきました。ブナの紅葉は、赤くはならず黄色で、落葉すると茶色くなり、やがて腐葉土となって大地に還ってゆきます。途中に大きなブナの倒木がありました。既に苔むして、幹からはかわいらしいキノコが生えていました。倒木の脇で小休止とし、そこからしばらく緩やかな登山道を登って行くと、やがて三光の宮に着きました。

ブナの森 三光の宮は、太陽と月と星を祀るお宮です。登山道の脇にそこだけ盛り上がった岩の小山に松の木が生えており、その岩を少し登ると「日月星」を祀った石碑があります。三光の宮からの眺めは良く、船形山の頂上から泉ヶ岳に連なる長い稜線がくっきりと見えました。流れる風は穏やかで、少し汗ばんだ体を爽やかに通り過ぎて行きました。


 さて、前回に引き続き、「相続税の精算課税」による贈与税の特例を活用した生前贈与のお話です。この特例は、60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対する贈与であることの要件の他、この特例を選択すると同一の贈与者(祖父母)からの贈与に関して、2500万円までは贈与税がかかりません。また、何年かに分けて贈与することができ、その贈与者からの贈与金額の累計額が2500万円を超えると、その超えた部分に関しては、一律20%の贈与税が課税されるという仕組みになっています。そして、その贈与者が亡くなった場合には、この特例により贈与した金額は、その贈与者の相続財産に加算して、相続税が課税される仕組みとなっています。なお、この特例による贈与金額が2500万円を超えたことにより、過去に受贈者が収めた贈与税は、相続税額から控除することにより精算され、最終的には相続税のみが課税されることになります。

 もっとも、相続財産の合計額とこの特例により加算される贈与金額の合計額が、相続税の基礎控除額(3000万円+600万円×相続人数)に満たない場合には、相続税は課税されませんので、過去に納付した贈与税は全額税務署から還付されることになります。したがって、予め保有する財産の合計額がこの相続税の基礎控除額を超えないと分かっている場合は、贈与税や相続税の事を心配しないで、ご自分の生前中に子や孫に財産を承継させることができるわけです。次回は、この特例の具体的な活用法をご紹介してみたいと思います。
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