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その86(りらく2018年5月号)
尾根沿いのルート

 今年の冬は例年より寒く、雪も多かったのですが、3月に入ると急に暖かくなりました。そうなると、毎度のことながら私のアウトドアライフにも変化が出てきます。気温が上がってくると、渓流に降り積もった雪も次第に融けて川面が現れてきます。そうなれば、いよいよ待ちに待った渓流釣りシーズンの始まりです。

ブナの森 お天気もまずまずの日曜日、早速、近くの渓流に行ってみることにしました。林道は未だ雪が深く積もっていて、スキーを履いての釣行です。毎年のことですが、一投目は緊張するものです。下手をするとコントロールが悪くて、ポイントに届くどころか、その脇の木の枝に毛バリが引っかかってしまいます。そうなるとお終いです。お魚も逃げてしまいます。

七ツ森 幸いうまくポイントに届きました。後は毛バリを流れにまかせて岩魚が喰いつくのを待つだけです。何投目かで岩魚が「バシャッ」と音をたてて毛バリに喰らいつきました。緊張の一瞬です。一呼吸おいて竿を立て引き上げてみると、20センチに満たない岩魚がかかっていました。釣れたのはこの1匹だけでしたが、今年最初の釣果に大満足の釣行となりました。


 さて前回まで、親から子や孫への住宅取得資金の贈与の特例についてお話しして参りました。今回は、配偶者間での居住用不動産の贈与に関する贈与税額控除の制度についてご紹介しましょう。

 この制度は「贈与税の配偶者控除」といい、婚姻期間が20年以上である一方の配偶者から一定の要件を満たす居住用不動産または居住用財産を取得するための資金の、いずれかの贈与により居住用不動産を取得した場合は、最大2千万円まで非課税となるものです。
例えば、現在住んでいる夫名義の土地・建物の一部または全部を妻に贈与すると、その内相続税評価額で2千万円までの部分は、贈与税が課税されません。贈与税の基礎控除額である110万円も別枠で使えますので、計2110万円の自宅の土地・建物を贈与税の課税なしで配偶者に贈与することができます。いわば内助の功に対する感謝の気持ちを税制面でもフォローする制度となっています。しかもこの制度を利用した配偶者への生前贈与は、前回ご紹介した相続税の生前贈与加算の適用もありません。
ここまでお読みいただくと、「ぜひ自分も配偶者への感謝の気持ちと相続税対策とし、この贈与税の配偶者控除を利用したい!」と考える方もいらっしゃるかと思いますが、実は、相続税対策としては、その効果は限定的です。何故かと申しますと、配偶者に生前贈与しなくとも、配偶者が相続により取得した遺産に関しては、総遺産の2分の1か1億6千万円のいずれか多い金額までは相続税が課税されないからです。ですので、配偶者に対しては生前贈与しなくとも相続税はもともと課税されないか、課税されたとしても前記の金額を超えた部分が課税となるだけなのです。また、贈与税はかからなくとも居住用財産である土地や建物の名義を変更することにより、登録免許税や不動産取得税が課税されることになります。一方、相続で取得した場合は、不動産取得税は課税されませんので、このような配偶者への居住用財産の生前贈与はむしろ不利ということになります。

 では、どのようなケースの場合にこの贈与税の配偶者控除を活用した生前贈与が有効なのでしょうか? 次回は具体的な活用方法をご紹介したいと思います。

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