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その85(りらく2018年4月号)
尾根沿いのルート

 3月上旬、出羽三山の一つ、湯殿山へスキーツアーに行って参りました。湯殿山は山全体がご神体となっており、頂上へ通じる登山道はないのですが、全山が雪に覆われる冬から春にかけてのみ、雪の上を歩いて登ることが可能となっています。

ブナの森 途中、冬の間大量に降り積もった雪が両脇に高い壁を作り、登山口に通じる道路が雪の回廊のようになっていました。やがて、道路は志津温泉の先で行き止まりとなります。そこからスキーにシールを付け、しばらくは車道の上を行くのですが、道路標識の看板に手が届くくらいの積雪となっていました。さらにその先の山形県立自然博物園から本格的な登山ルートとなり、しばらくは太い幹のブナ林の中を登って行きます。ブナの林を抜けると、突然白い雪で覆われた湯殿山が現れました。正に神々しいばかりの白さです。

七ツ森 今回は、頂上手前からガリガリのアイスバーンとなっており、危険な状態でしたので引き返すことにしました。さすが神の住まう山です。そう簡単には人を寄せ付けてくれませんでした。

 それでも、帰りは快適なスキー滑降を存分に楽しむことができ、十分満足な一日となりました。

 さて今回は、前回ご紹介した贈与税の住宅取得資金の特例の有効な活用方法についてのお話です。
 相続税対策として生前贈与を活用する大きな目的は、将来相続が発生した場合に相続税の課税対象とならないよう、予め子や孫に財産を移しておく事ですが、生前贈与していても相続税の課税対象となる場合があります。それが生前贈与加算です。生前贈与加算とは、相続又は遺贈によって財産を取得した場合、相続開始の日から遡って3年以内にその被相続人から生前贈与を受けた財産があるときは、その贈与財産を相続又は遺贈により取得した財産に加算して相続税の申告をしなければならないというものです。せっかく相続税対策として生前贈与していても、贈与した日から3年以内に贈与者が亡くなられますと、税金面としては生前贈与しなかった場合と同じ結果となってしまう訳です。
 この生前贈与加算は、贈与を受けた金額が贈与税の基礎控除額である年110万円を超えていてもいなくても、その受贈者が贈与者の相続人である場合、贈与者の死亡に伴う相続税の申告にあたっては、相続財産に加算して申告しなければなりません。
 ところで、住宅取得資金の贈与の特例ですが、住宅取得資金の贈与を受けた後、3年以内にその贈与者がお亡くなりになっても、この生前贈与加算はありません。したがいまして、この特例は、若い世代の住宅取得の為の支援となるだけではなく、相続税の確実な節税対策にもなる訳です。
 この生前贈与加算とならない生前贈与の特例は、実はもう一つあります。それは、配偶者に対する居住用財産の贈与の規定です。 

 次回は、この規定についてお話ししましょう。
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