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その72(りらく2017年3月号)

  1月の下旬、北泉ヶ岳の麓にあるブナ林に囲まれた桑沼という小さな沼の近くに、今年初めてのキャンプに行って参りました。今回のパーティーは、私を含め4名。各々テントの他お酒と食材をたくさんザックに詰め込んでの豪勢なハイキングです。足元は、全員「かんじき」です。林道は除雪などされていないので、かんじきかスノーシューを履いていないと足が膝上まで雪に埋まってしまい、歩くことができません。

 今回は、途中まで先行者のトレースがしっかりと残っていて、ラッセル(雪をかき分けて進むこと)の必要もなく、重い荷物も苦にならない位です。途中からは、林道を外れ少々登りのある真っ新(ルビ=さら)な雪面を進むのですが、4名で先頭交代しながらのラッセルも楽しいものです。

  目的地の桑沼に到着すると早速雪穴を掘り、焚火の準備をします。焚火に使う薪は、辺りの倒木や立ち枯れた広葉樹の枝を少しだけ現地調達させていただきます。そうこうするうちに、陽もとっぷりと暮れて、焚火を囲んでの宴も絶好調です。やがて皆酔いが回り、それぞれ持参したテントに入って、暖かいダウンのシュラフ(寝袋)に潜り込めば、あっという間に夢の世界です。翌朝は、雪穴を埋め戻し、ゴミは全てザックにしまい、昨晩の宴がまるで絵空事であったかのように元通りにして、足跡だけを残し帰途につきました。

 老後の財産管理についてですが、今回は賃貸用建物を活用した相続税の節税対策の仕組みについてお話ししてみたいと思います。
 前回お話しした通り、アパートなどの賃貸用建物を建築して安定的な老後の生活資金を確保するためには、なるべくお金を借りないで自己資金の比率を高くして建物を建てた方が自由に使える手取り額が多くなるのですが、老後の生活資金にある程度余裕があり、自宅以外の土地等の不動産をお持ちの方の場合は、相続税の節税対策も必要となります。
 この場合の対策として一般的なのが、賃貸用建物を活用した方法です。例えば、定期預金が5千万円あるとして、これをアパートの建築資金に充てると5千万円の定期預金が5千万円の賃貸用建物に置き換わります。賃貸用建物の相続税評価額は、建築価額の5千万円ではなく、おおよそですがその半額の2千5百万円の評価となります。つまり、定期預金で持っているよりも賃貸用建物に投資して所有した方が、相続税の計算をする場合の評価額が安いのです。
 では、5千万円の自己資金の他に1億円の銀行借り入れを行い、合わせて1億5千万円の賃貸用建物を取得したらどうなるでしょうか。この建物の相続税評価はおおよそ半額の7千5百万円ほどになります。加えて、借入金(債務)が1億円発生しますので、仮にその方の相続財産の評価額のトータルが、定期預金の5千万円を含めて8千万円だったとしますと、建物取得後は、定期預金以外のその他の財産が3千万円、新たに取得した賃貸用建物の相続税評価額が7千5百万円の計1億5百万円となり、相続税の計算上これらの財産から差し引かれる債務が1億円ですので、相続財産の評価額のトータルは、差引5百万円となります。相続人の数が3人だとしますと、相続税の基礎控除額は4千8百万円ですので、それを下回ることとなり相続税はかからなくなります。
 以上の通り、自己資金の他に借入金を活用してより高額な賃貸用建物を取得すると、相続税の節税効果が高くなるのです。もっとも、前回お話しした通り、建物の取得後は、借入金の返済が長期にわたり発生しますので、将来家賃の値下げや空室の発生を見越して、返済に困らないよう、余裕のある返済計画を組むことが肝要です。
 次回は、預貯金その他の金融資産の管理についてお話しします。

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