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その71(りらく2017年2月号)

 昨年の暮れにスキー場の中腹にあるロッジに行って参りました。アウトドア派税理士を名乗っている手前もあり、冬でもキャンプに行くのが自分流なのですが、今冬は先シーズン以上に雪が少なく、12月中は雪上キャンプをあきらめ、家族を連れて暖かいロッジで過ごすことにしたのです。

 行った先は、山形蔵王温泉スキー場です。広いスキー場のほぼ中腹に大きな丸太で組んだチロル風のロッジがあります。数年前に30代前半の若い経営者に世代交代し、それ以来人気のスポットになっています。山中にもかかわらずwi-Fiが使える一方で、薪ストーブや暖炉等、山小屋の気分を盛り上げる演出がされており、若いスノーボーダーから昔スキーで鳴らしたアクティブなお年寄りまで幅広い世代で賑わっています。

  日中ゲレンデで滑った後は、薪ストーブにあたってゆったりとした時間を過ごすのも良いものです。キャンプの場合は、テントの設営や食事の準備など結構忙しく、それはそれで楽しいのですが、ロッジで何もせずジャズの調べに身を任せ、バーボンのロックを片手にのんびりするのも、殊更に贅沢な時間に感じられます。

 老後の財産管理についてですが、今回は自宅以外の不動産についてお話ししたいと思います。不動産は所有しているだけで、維持費のかかる財産です。土地や建物には固定資産税(仙台市の場合、固定資産税評価額の1・4%)や都市計画税(同、固定資産税評価額の0・3%)が課税されますが、土地の上に住宅が建っていますと固定資産税に関しては「住宅用地」に該当し、更地の場合と比較して土地に対する税額が安くなるようになっています。逆に申しますと、更地のまま何にも利用しないで所有している土地は、コストが高くついているといえます。預貯金で持っていれば、多少は金利が付きますが、更地の場合は保有しているだけで年間1・7%の金利を支払っているのと同じなのです。また、更地のままですと草刈りが必要になったり不法投棄の対象となったりして何かと手間がかかるという問題もあります。
 そこで、通常ですと有料駐車場にしたり、アパートなど貸家を建てたりして収入を得るようにしている例が多いのです。更地をお持ちの方は、立地や面積に応じた土地の有効活用プランを検討し、老後の生活資金の一部に充てることが望ましいといえます。
 ただし、賃貸アパートを建築して、その賃貸収入を老後の生活資金の一部に充てようとする場合は、建築資金等が必要となりますが、これをなるべく自己資金で賄うようにすることがポイントです。住宅ローン等、金融機関からお金を借りて賃貸経営をする場合は、家賃収入から土地や建物の固定資産税の他、金利や元金の返済分を差し引いた残りが、実際に使えるお金になります。建築資金に占める借入金の割合が高くなりますと、将来、空き部屋が出たり家賃が値下げになったりした場合、生活費が残らないばかりか、元金の返済資金にすら困窮してしまい、挙句の果てにその不動産を売却しても借金が全額返済できなくなるリスクも高くなってしまいますので、極力借入に頼るのは最小限にした方が安心です。100%自己資金で建築できれば、空き部屋が半分になっても収支がマイナスになることはまずないでしょう。預貯金の金利が0・0数%の超低金利の時代ですので、投資利回りとしては不動産投資の方が断然高いといえます。

 なお、相当規模の財産をお持ちになられていて、相続税の負担も高額と試算されるような方の場合は、自己資金だけでなく借入もして、なるべく大きな賃貸用建物を建築した方が、相続財産の圧縮になることはいうまでもありません。次回はその仕組みについてわかり易くお話ししましょう。
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