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その65(りらく2016年7月号)
山小屋に向かってダウンヒル

 五月晴れの5月中旬、1泊2日の日程で月山の奥に行って参りました。スキー場のある姥沢という登り口から2日分の食料や飲料(もちろんお酒も!)で重くなったザックを担いで月山の頂上を目指します。といっても、姥沢からは月山の中腹までリフトで上がることができます。リフトを降りてからは、シールを付けたスキーを履いて、月山の頂上まで約2時間半の登りが待っています。山頂手前の急斜面は既に雪が解けて岩肌が露出しており、スキーをザックに括り付けての登りとなります。

山小屋からの眺め 月山の頂上からはいよいよスキーを履いてのダウンヒルです。今日泊まる予定の清川行人小屋は、姥沢とは反対側の月山の東斜面の中腹にあります。先ずは、南側の尾根沿いにトラバース(斜面を横切ること)しながら広大な雪原が広がる「大雪城」という斜面に向かいます。すると、あっという間に頂上付近一帯にはガスがかかって視界が効かなくなってきました。広大な雪面は目印となるものが無く、コンパスとGPSを頼りに慎重に下っていきます。途中からはガスも晴れ、大雪城をしばらく下ると脚下に小屋の赤い屋根が見えて来ました。「ほっ」とする瞬間です。

お地蔵さんとカタクリ 小屋に着いて、先ずは渇いた喉に冷たい缶ビールを流し込みます。重いザックを背負ってきた甲斐があったというものです。小屋の周りは丁度カタクリの花が見頃で、傍に立っているお地蔵さんも嬉しそうなお顔でした。

 


 ところで、後半は空き家についてです。前回は、一定の要件に該当する空き家を売却した場合、税金が安くなるというお話をしました。今回は、この点について少し詳しくお話ししたいと思います。
土地や建物を売却した場合、その売却価額が、以前にこれらの土地や建物を購入したときの購入費用から建物の減価償却費を控除した後の金額を上回ると、譲渡益が発生し、その譲渡益から売却に際して支払った仲介料等の譲渡経費を差し引いた金額に対して譲渡所得税が課税されます。
しかし、所有者ご自身が居住していた自宅の土地・建物を売却した場合は、この譲渡益が発生しても、通常は3千万円の居住用不動産の特別控除が適用され、この金額以下の譲渡益までは譲渡所得税が課税されません。
ところが、その家に居住していた方がお亡くなりになり空き家となってしまった場合、その後その空き家となっている土地・建物を売却してもこの3千万円の特別控除は適用されませんでした。居住用財産の特別控除の特例は、その土地・建物を売却した所有者が居住していたことが要件となっているからです。
そこで、この空き家を売却し易くするため、一定の要件に該当する空き家については、居住用財産の特別控除の特例と同様に3千万円の特別控除ができるよう、新たに特例が設けられました。その一定の要件とは、次の通りです。①1981(昭和56)年5月3日までに建築された戸建ての建物であること②亡くなられた方がそれまで一人暮らしをしていた自宅であること③その方が亡くなられた後他の方が住んだり、他に貸したり、事業に使ったりしていないこと④マンションなどの区分所有建物でないこと⑤相続発生の年から3年後の年末までに売却すること⑥建物は解体するか、新耐震基準を満たすよう改修してから売却すること⑦土地と建物の売却価額の合計額が1億円以下であること
以上の7つの要件を全て満たすと、3千万円の特別控除が適用されます。なお、この特例が適用されるのは、今年4月以降に売却した空き家からとなります。空き家を相続された方は、これらの要件の全てに該当するよう注意して、今後適当な時期(ただし、⑤の用件に留意)に売却することも検討されてみてはいかがでしょう。

 

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