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その55(りらく2015年9月号)
十和田湖畔

 先日、宮城県南部の亘理沖へヒラメ釣に行ってきました。亘理沖は、大物のヒラメが釣れることで有名で、県外からも多くの太公望がやってきます。早朝、亘理の荒浜漁港から釣り船で沖合いに向かいます。今日は快晴で、波も穏やか。絶好の釣日和です。
目指すポイントに着くと、船は減速し、合図と共に一斉に皆で海へ仕掛けを投入します。何ごとも最初が肝心。一投目に魚が飛びつく確率が高いのです。餌は、生きた鰯(イワシ)です。鼻先に針を掛けて竿先を微妙にコントロールしながらヒラメを誘います。

 

渓流の釣 すると、隣の相棒の竿が急に大きくしなり、穂先が水面近くまで吸い込まれていきます。大きな獲物が掛かったようです。相棒は慎重にリールを巻き上げます。やがて水面に大きなヒラメの姿が見えてきました。70センチ以上はありそうです。一方、自分の方には、未だ当たりがありません。場所も隣同士で、同じように竿を操作してやっているのですが、何かが違うのです。こればかりは、経験と集中力がモノをいいます。

皆で夕食 その集中力がなくなりかけて、一旦仕掛けを巻き上げようとした時、急にガツンと来て竿が重くなりました。やっと自分にも来ました。竿が大きくしなり、大きな魚が激しくもがいているのが伝わってきます。両手で必死にこらえますが、頭の中は真っ白です。隣から「あわてるな!ゆっくり巻き上げろ!」と声が飛んできます。重くなったリールのハンドルを慎重に巻き上げると、掛かっていました、大きなヒラメが。やっとの思いで獲物を取り込むと、全身汗まみれですが、緊張感から解放された脱力感と獲物を捕らえた満足感が体全体に広がります。見ればクーラーボックスに収まりきらない位の大物です。
 ご存知の通り、ヒラメは美味しい魚です。特に大きなヒラメ程、味が濃く、あの「えんがわ」も厚くプリプリのが大きく取れます。自宅に戻って自分で捌き、刺身で美味しく頂いたのは言うまでもありません。


 さて、今回はご高齢の方の相続対策についてお話ししてみたいと思います。高齢になればなるほど病気にかかる確率が高くなりますし、例え身体が健康であっても、細かいことを考えたり、将来のことを考えることすら億劫になりがちです。また、自分が亡くなった後のことを考えるなど、年を重ねる程次第にどうでもよくなってくるものです。かといって、ご自分が健康で頭もしっかりしているうちは、病気にかかるとか何かのきっかけがないと、なかなか遺言書を書いておこうなどという気持ちにはならないものです。
 先日、ある方から相続に関する相談を受けました。その方は、循環器系の病気にかかって半身不随となり、意識ははっきりとしているものの、言語障害もあって家族との会話も不自由な状態でした。お持ちになっている財産は、預貯金、上場株式、賃貸不動産等で、予想される相続税額を試算したところ、数千万円にのぼることが判明しました。
 家族構成は、ご夫婦とお子様が3人。ご本人(夫)は治療継続中ですが、完治の見込みはなく、今後相当の医療費も見込まなければならないとのことでした。
 このケースの場合の問題点は、ご本人の年金と賃貸不動産の収入だけでは、医療費や今後の生活(ご夫婦2人)を維持していくだけの金額には足らないという点です。また、財産中、上場株式の占める割合が高く、これを今後売却して現金化し、生活費に充てることも考えられますが、将来株価が値下がりした場合のことを考えると不安が拭えません。そこで、民事信託というものを提案しました。ご病気のご本人の財産を奥様に信託することにより、ご本人に代わって信託された財産を管理・運用する方法です。次回詳しく、この家族信託についてお話しましょう。

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