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その42(りらく2014年8月号)
人と自転車と自動車

 暑い盛りとなりました。ところで、先日、と言いましても6月のことですが、久しぶりに海外に行ってまいりました。行き先はカナダのバンクーバーです。丁度同じ時期の北海道のようなカラッとしたさわやかな気候で、こうして思い出してみますと多少今の暑さから解放された気分になります。
カナダは初めてで、その東海岸に位置するバンクーバーは、以前冬季オリンピックが開催されたこともある風光明媚な大自然に囲まれた都市です。市内は公園も多く、早速朝はホテルから町の北西側にあるスタンレー公園まで走って行って、観光とジョギングを楽しみました。ウィークデーだというのに、老若男女多くのランナーが専用レーンを思い思いに走っています。写真では少しわかりづらいですが、車道の脇には自転車専用レーンと歩行者専用レーンが区分されており、自転車とランナーや歩行者が誤って接触しないよう境目に段差を設ける工夫がされているので、安心してランニングやウォーキングを楽しむことができるようになっていました。

朝のジョギング 翌日は、公園の近くにあるレンタサイクル屋さんで自転車を借りて、サイクリングを楽しみました。レンタルとはいえ、最新型のロードレーサーまで揃っていてチョイ乗りには充分です。家内と二人爽やかな空気の中を、風を切りながら快走することができました。
ところで、以前訪れたドイツでもそうでしたが、バンクーバーの街中の通りにも自転車専用レーンが設けられています。日本の場合は、多くの場合歩道に単にラインを引いて歩行者レーンと自転車レーンとに分けているだけですが、バンクーバーでは、車道の一部に自転車専用レーンが設けられていて、自転車が歩道に入り込めないようになっていました。おかげで歩行者は自転車の往来を気にせずに安心して歩くことができますし、自転車のライダーも歩行者に気を取られずまっすぐに走らせることができます。また、大通り等では、歩道と自転車専用レーンの間に車両の駐車レーンが設けられており、駐停車中の車両の脇を自転車が通過する際に、車両の走行レーンに飛び出さないようになっていて走行中の車両にとっても自転車が邪魔にならないように工夫されていました。

自転車専用道路 カナダやドイツなどの国々と日本とでは、自転車に対する位置づけの違いを感じます。日本では、これまで自転車はどちらかというと歩行者と同じ扱いを受けてきました。朝の通勤時や夕方の時間帯に街を歩いていると、歩道上で歩行者と自転車あるいは自転車同士の接触事故や衝突事故を見かけることが時折あり、怪我をするまでの事故に至らなくても当事者だけでなくそれを見ていた周りの人も嫌な気分になります。また最近は、日本でもスポーツバイシクルが盛んになっていて、街中でも快走するロードレーサーを見かけることが多くなってきました。
そんな中、実は、日本でも道路交通法の改正により昨年12月から、自転車は原則車道を走ることに変更されています。そして今後は従来どおり歩道を自転車で走ることができるのは、「自転車の歩道通行可」の標識がある等、一定の場合に限られるようになっています。また、自転車で車道を走る場合、これからは左側通行オンリーとなりました。自転車で走っていても自動車で走っていても、自転車の逆走くらい怖いものはありません。これらの改正を読者の皆さんはご存知でしたか? 改正から半年以上経ちましたが、新ルールは未だあまり浸透していないようです。バンクーバーの街中をジョギングしたり自転車で走ったりしながら、法律だけではなく、これからは日本の道路設計自体を根本から変えてほしいものだと思いました。
今回は、スペースの関係上税金のお話はお休みです。

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