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その38(りらく2014年4月号)
渓流沿いのミズ

 やっと春めいてまいりました。税理士である私にとりましては、3月の所得税確定申告の業務が終わると、気持的にも春になります。山にはまだまだ雪が残っていますが、渓流には確実に春の息吹が芽生えています。先ず、川面(かわも)に覆いかぶさっていた雪が融け、ところどころ水面が顔を出します。そうなると早春の釣りの始まりです。半年ぶりに釣り道具を引っ張り出し、フライ(毛鉤)を巻いたり竿の点検をしたり、気持ちが高ぶっていることもあり、前の晩はなかなか床につくことができません。
さて、いよいよ初釣行。林道にはたくさんの雪が残っているのでスキーを履いて釣り場まで向かいます。釣りだけでなくスキーも楽しもうという欲張った魂胆です。

コゴミ 目指す釣り場にたどり着くと、釣りの支度をし、姿勢を低くして魚に気付かれないようにポイントに近づきます。スキーを脱いでいるので、歩くたびに足が「ズボッ」と雪面に潜り込んでしまい、ほんの数メートル歩くだけでも難儀なアルバイト(※)を強いられますが、これもこの時期特有の儀式のようなものです。
さて、魚が潜んでいるポイントから数メートル離れた岸辺に場所を定め、いよいよフライを川面に送り込みます。最初は反応がなかったのですが、次第に奥の方にフライを飛ばし、本命と定めたポイントの少し上流に落としてうまく流れに乗せると、突然、魚がフライに飛びつきました。

カタクリ うまく合わせて魚を手繰り寄せ、雪面に釣り上げてみると20センチにも満たない小さなイワナです。半年近くも雪で覆われていたので、魚体全体が黒ずんでいます。これは「サビ」といってこの時期の渓魚の多くに見られる特徴です。餌の少ない冬の厳しい環境の中で生きていたので、痩せて全体的にほっそりしています。よくも生き抜いてきたものだと関心しないわけにはいきません。写真を撮って直ぐに放してやります。

 たった一匹の釣果ですが、今日はこれでおしまいです。おそらくこのポイントではフライを落としても再びそれを咥えにくるようなドジなイワナはいないでしょう。それくらい渓魚は警戒心が強いのです。今日は、半年ぶりに山奥の野生の渓魚に出会えただけで十分、満足な一日でした。

 変わって税金のお話しです。今月から消費税の税率が5%から8%に上がることは皆さんご存知のことと思います。消費税は、食料品や日用品、飲食代、電気代等の水道光熱費までいろいろな品物やサービスに対して課税される税金です。平成元年の4月に消費税が初めて導入され、その時の税率は3%でした。その後、平成9年4月に現在の5%に引き上げられていますので、今回は2度目の税率アップとなります。
 ところで、今回の消費税の税率アップに伴い商品の価格表示の方法についても改正がありましたのでご注意ください。
 価格表示は、本体の価格に消費税を含めた税込価格、いわゆる総額表示が義務付けられているのですが、消費税が引上げられると税込価格も変わりますので、飲食店等はメニュー表なども変更しなければなりません。また、まだ決定ではありませんが、来年10月には更に税率が10%に引き上げとなる可能性があります。
 そのような事情もあり、今月から価格表示に関して税率が変更となっても値札やメニューを変更しなくて良いように、税抜きでの表示が認められることになっています。この場合、具体的には値札やメニューの価格が税抜き金額で表示され、レジで支払うときは、別途8%の消費税を加算して支払う形となります。この取り扱いは、平成29年3月31日までの期間限定ですが、しばらくの間、お買い物や飲食の際に値札やメニューが税抜き価格か税込価格なのか確認するなど、注意が必要です。

(※)アルバイト=登山用語で、きつい登り、無駄な動きをすること

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