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その23(りらく2013年1月号)

アウトドア派「税理士」大藤正樹のひとりごと

新たな年を迎えていかがお過ごしでしょうか。今年も私のささやかなアウトドアライフと税金のお話しにお付き合いください。

漁船の姿

東日本大震災の大津波で宮城県内の海岸は壊滅的な被害を受けました。私の生まれた閖上地区も町全体が甚大な被害を受け、震災直後は港には何もない状況でしたが、昨年の春以降、数は少ないながらも小型の漁船や遊漁船の姿が見られるようになってきました。仮設の魚市場もできて魚の水揚げも徐々に行われるようになっているようです。

津波に耐えた寺と海岸の焼却プラント

そのような動きを横目で眺めながら、昨年秋に私も恐る恐るカヌーを積んで閖上港に行ってみました。元住民として複雑な思いや後ろめたさもありましたが、行ってみると釣り人の姿もそこそこ見受けられ、思い切って閖上港のスロープからカヌーを漕ぎ出しました。湾内は以前と変わらない青い海面が広がっていますが、海岸に出現した大きな焼却プラントからは白煙があがり、周囲には未だに木材の瓦礫がたくさん積まれ、何台もの重機が動き回っています。黒松の防風林が連なる閖上海岸の風景はいつになったら戻ってくるのでしょうか。

ソイ ヒラメ

一方、久しぶりにカヌーから竿を出してみると、すぐに魚の当たりがあり、竿の穂先が海面に吸い込まれそうになります。しばらくしてリールを巻き上げると40センチ近くもある大きなアイナメでした。震災前までは湾内の堤防付近は休日ともなると釣り人であふれ、カヌーでは近寄れないくらいだったのですが、震災後は外海を隔てる東側の防波堤は立ち入り禁止となっており、船でしか近寄ることはできません。このためカヌーの独壇場です。その後もアイナメだけでなくアジやサバ等の青魚もたくさん釣れました。

閖上の町自体の復興はなかなか進んでいない状況のようですが、せめて漁業関係者や釣り人が増えて震災以前の港の賑わいが多少でも戻ればと願っています。


さて税金のお話しです。今回は、生命保険の保険金に関する取り扱いについてお話ししてみます。

生命保険に加入する場合、保険契約を保険会社と交わします。この場合、保険金額の他契約者名、被保険者名、保険金受取人名等を明記することになっています。被保険者とは、保険の対象になる方のことをいいます。たとえば生命保険契約の場合、被保険者がAさんとした場合、Aさんが亡くなると保険金の支払い事由に該当して受取人の方に死亡保険金が支払われます。

生命保険金に対する課税は、この契約者(=保険料負担者)、被保険者、保険金受取人(以下受取人)が誰かによって課税される税金の種類が異なってきます。例えば、契約者がBさん、被保険者がAさん、受取人がBさんである保険契約の場合、Aさんの死亡によりBさんに死亡保険金が支払われますが、この場合は保険金を受け取ったBさんに対して所得税・住民税が課税されます。

では、受取人が契約者とは異なるCさんの場合はどうなるのでしょうか?この場合は、Cさんに対して贈与税が課税されることになります。保険料を負担していたのは契約者のBさんであり、BさんからCさんへ受取保険金の贈与が行われたとされるためです。このように保険の契約の仕方によって課税される税金の種類が違ってきますので、予めそのあたりの取り扱いを知った上で生命保険に加入する必要があります。特に贈与税が課税されるケースでは、受取保険金の額により適用税率が極めて高くなることもあり注意が必要です。次回は、もう少し詳しくお話ししましょう。

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